WEBデザイナーになる前、クリエイティブとは全く無縁の人生を送っていました。自分が今、デザイナーと呼べる職種に就いていることを不思議に思うほどです。
WEBやデザインといった領域について知識がなかったため、行き当たりばったりで遠回りもしてきましたが、全てにおいて「良い経験だった」と今では感じることが出来ています。
これからWEBデザイナーを志望する方や、WEB業界に興味がある方の参考になればと思い、未経験から制作会社に転職してWEBデザイナーになるまでの流れを、実際の経験を踏まえてご紹介します。
Contents
WEBデザイナーを目指したきっかけ
地元の普通科四大を卒業し、特にこれといってやりたいことも見つからず、運良く内定をいただけた企業に就職しました。
この会社に勤めたことで得られた気づきが、今のわたしに繋がっています。
Excel関数からマークアップ言語へ興味を持つ
ビッグデータを管理し、戦略資料をExcelで作成することがわたしの主な仕事でした。
超Excelマスターのような先輩に指導していただきながら、だんだんと複雑な資料を自力で作成出来るようになり、関数計算が得意分野になっていきます。
Excelが出来るようになると、簡単なマクロを作成するようになり、Accessでデータベースの操作なんかもするようになりました。
この頃から、数式や言語で表現することに楽しさを見出すようになり、マークアップ言語(HTMLやCSS)やプログラム言語について興味を持ちはじめます。
替えがきく仕事にショックを受ける
事務員の仕事は、ほとんどがルーティンワークで、毎月毎月同じ作業を繰り返します。1年も経つと、与えられた仕事のほとんどをミスなく出来るようになりました。
仕事がだるいであったり、つまらないといった感覚はなく、何度やっても「楽しい」が当時のわたしの感覚でした。
効率化のためにショートカットキーを覚えたり、見やすくするためにレイアウトを変えてみたりと、些細なことでも自分の中で工夫することに意欲的だったことを覚えています。
ただどんなに自分が愛着や熱意を持って取り組んでいる仕事でも、それは自分の仕事ではなくあくまで会社の仕事。
人事異動が出れば、あっけなく引継がなくてはいけません。
事務員のお仕事は、なんて簡単に引き継げる仕事なんだろうと強烈な印象で残っています。
人も仕事も「替えがきく」ということが、組織を組織として成り立たせるための方法なんだと気付き、何か手に職が欲しいと漠然に思うようになりました。
デザイナーという職種に出会う
仲良くしていた先輩社員に誘われて、別部署の飲み会に参加させていただく機会がありました。そこで、同じ会社に勤めるグラフィックデザイナーに出会います。
これまで、クリエイティブとは全く無縁の人生を歩んできたので、何かをクリエイトする仕事の方に出会うのは初めての経験でした。
これを期に話をするようになり、実際にデザイン作業をしているところを見せてもらいました。
専用のクリエイティブソフトを使いこなし、ゼロからデザインを作り上げていく様がとてもかっこよく、猛烈にデザイナーという仕事に憧れるようになりました。
ホームページを作りたいと頼まれる
そんな時、自営業を営む両親から、会社のホームページをリニューアルしたいと頼まれます。
マークアップ言語を勉強していると言ってもサイトを作れるほどのスキルはありません。
独学で勉強する自信も無かったため、「スクールに通ってみるか?」という選択肢をもらい、WEBデザイナーに向けてのはじめの一歩を踏み出しました。
スクールに通う
わたしが通ったのは、富士通オープンカレッジというパソコンスクールで、WEBデザイナーコースという講座を選びました。
富士通オープンカレッジを選んだ理由
当時わたしが住んでいたエリアが地方だったこともあり、WEBデザインを包括的に学べるスクールが限られていました。
また、社会人だったので、業務後に通いやすいという観点で選びました。
今思えば、現場で使えるテクニックなど、実践的な勉強や指導は少なかったように思います。基礎基本といった面では、丁寧に教えていただけました。就職後のバックアップもありましたが、クリエイティブなWEB制作会社への就職よりも、企業系のインハウスデザイナーや、WEB担当ポジション、派遣での技術スタッフとしてのサポートが多いようです。
料金と講座内容
わたしが選んだWEBデザイナーコースは、HTMLやCSSの基礎やサーバーアップロードの方法、各種制作ソフトの使い方、課題制作が主な内容でした。
コース名 | WEBデザイナーコース |
---|---|
時間 | 84時間(予約制フリータイム) |
料金 | 391,000円 |
受講スタイル | 通学制 |
レッスンスタイル | 少人数レッスン |
マンツーマンではなかったのですが、常にWEB担当の先生がいる教室に、好きな時間(予約制)に行って勉強するフリータイムスタイルだったので、時間の融通が利いてすごく通いやすかったです。
当日キャンセルや時間変更も受け付けてくれて、手数料なども発生しないので、社会人としてはスケジュールが組みやすくて助かりました。
受講時間が決められている授業制だと、仕事をしながら通うのはなかなか厳しいと思いますし、質問もしにくいと思うので、この制度はおすすめです。
主な講座内容
WEBサイトの仕組みや構造、ソフトの使い方など基本的なことは全部学べました。テキスト教材も初心者向けで分かりやすく、新人指導の際に今も活用しています。
- HTML、CSSのマークアップ
- サイト構造、ファイル構成の仕組み
- WEBサーバーへのFTPアップロード
- Dreamweaverの使い方
- Photoshopの使い方
- Illustraterの使い方
- 課題制作
実際に通った期間
わたしの選択したコースでは、84時間の手持ち時間を、自分の好きなスケジュールで学習に充てられたので、平日のどこか2日2時間ずつと、休日3時間というサイクルで通っていました。
全く通えない週もあったので、全部で5ヵ月以上かかったと思います。だいぶ遅いですね。早い方だと仕事をしながらでも、3ヵ月弱で卒業できると思います。
ホームページがどうやって作られているのか、どんなツールで作られているのか、全く分かっていなかったので、スクールに通ったおかげでそういった基礎知識がつきました。
いざ就職活動
実際に就職先を探してみると、ほとんどが経験者の求人で、未経験で応募できるWEBデザイナーの求人がありませんでした。
わたしは、クリエイティブ色の強い制作会社に転職希望だったので、余計かもしれません。
WEBの知識を少しかじったことで、どれだけ自分の知識が未熟かが分かり始め、奥の深さに何をどこまで勉強していいのかも分からず、高いお金を出してスクールに通った時間が無駄になってしまったらどうしようと、焦っていたのを覚えています。
そんな時、「入社したい」と思える制作会社に出会いますが、ここでも立ちはだかる「経験者募集」の壁。そこでわたしは、知り合いに頼んで、インターンシップとして実務経験を積ませてくれる企業を探しました。
1年間のインターンシップを経験し、実務経験を積む
知り合いの知り合いにWEBデザイナーがいるということでご縁を頂き、実際の制作現場で働かせていただくことになりました。
この間、もちろん社員として就業中のため、この制作会社からお給料をもらうわけにはいきません。
副業としてではなく、「実務経験を積むために、無給で良いからお手伝いをさせてほしい」とお願いし、働かせていただくことになりました。
制作現場での無力を実感
といっても、スクールに通っただけの超初心者で、現場では全く使い物にならず、足手まといな奴だったと思います。
制作ソフトに関しても、思うように動かせず、やりたいことを形にするまでに1時間。
CSSで表現しようにも要素が分からず、調べながら1時間。。
と、こんな調子で役に立つわけもなく、3時間かけて作ったサイドメニューの小さなバナーが、次の日の朝には替えられているというショックな日々の繰り返しでした。
週3日、業務後の19時~22時過ぎまでの3時間を1年続けたあの日々を思い出すと、今でも胸が苦しくなるほどです。自分の出来の悪さに、泣きながら帰っていた下積み時代でした。
WEBデザイン漬けの毎日
本当に役立たずではありましたが、それでもWEBデザインは楽しく、下手くそながらもやりがいに満ち溢れていました。
インターンシップ以外の日は、帰宅するなりすぐパソコンの前に座り、食べる間も寝る間も惜しんでデザインに明け暮れていました。
あの必死な毎日に編み出したスキルアップのための実践方法を記事にしていますので、読んでいただけると嬉しいです。
ここまでしないとWEBデザイナーにはなれなかったのか
もっと簡単に、もっとスマートにWEBデザイナーにはなれます。
どちらかというと、WEBデザイナーになるより、WEBデザイナーでいる方が大変だと思います。
わたしの場合は、そもそもなり方が分からなかったので、最短距離ではありませんでしたが、この下積み時代があるからこそ、「いつか絶対にトップデザイナーになる」という不屈の決意が生まれました。
若さゆえの猛進でしたが、あの時頑張ったことを誇りに思っています。
第1希望のWEB制作会社へ転職
インターンシップではありますが、実務経験有りの枠で応募し、かねてより希望していたWEB制作会社から内定をもらうことが出来ました。
自社ホームページの採用ページからエントリーを送り、「書類選考」→「一次面接」→「二次面接」→「内定」の流れでした。
当時ポートフォリオという存在を知らなかったので、応募書類は履歴書と職務経歴書のみを送りましたが、志望動機に入社に対する意欲を書き連ねた記憶はあります。
面接に持参したサイトに0点評価を受ける
これまでの制作実績として、8ページ構成くらいのバレエ教室サイトを制作し、面接に持参しました。「このサイトに点数を付けるなら何点ですか?」という面接官から質問を受けて
私:「70点くらいです。」(プロから見たらこれくらいだろうと推測。)
面接官:「残念だけど0点だよ。」
私:「・・・・」
当時のわたしからしたら渾身の力作だったので、0点と言われたときの衝撃は未だに忘れられません。
ただその後面接官は、「なぜ0点なのか」という理由と、「こうしたらもっと良くなる」と改善点を教えてくれました。
その理由がとても納得できて、「プロの視点でサイトを作ることはそうゆうことなのか」と腑に落ちる内容でした。
サイトの評価は0点でしたが、実務経験があって一通りサイト制作は出来る人ということでなんとか入社することが出来ました。
入社後、面接官の方に「拾ってくださってありがとうございました」と声を掛けたところ「拾ったなんて思ってないよ、一緒に働いてみたいと思ったから採用になったんだよ」と言ってくださって泣きました。
下積み時代の芽がようやく出始める
WEBデザイナーを志望してから2年弱、ようやく憧れのWEBデザイナーになることが出来ました。
成長スピードは人さまざまですが、デザインに関してはある程度経験値を積むまでは緩やかで、一定量を超えてから急激に加速するものだと思います。
わたしは下積み期間の芽がようやく出始め、スタートダッシュを切れる形でお仕事を任せてもらえるようになりました。
遠回りな道のりでしたが、確実に積み上げていた時間です。無駄な努力じゃなかったと報われる思いでした。
さいごに
転職してからの毎日は忙しくもとても有意義で、7年経った今も飽きることなくWEBデザインを仕事にしています。
たくさんのプロジェクトを遂行して、たくさんのサイトを制作してきました。こんなにも情熱を注げることを仕事に出来て、本当に幸せだと感じています。
クリエイティブな仕事は、なかなかに大変ですが、その大変さを知った上で「この仕事が好きだ」と心から思えています。
この記事を読んだ、WEBデザイナーを目指す方々のモチベーションが少しでも高まれば嬉しいです。