会社選びは、今後の人生に大きく関わる重要な選択です。
将来どんなデザイナーになりたいか、どんな働き方を希望するかなど、キャリアプランによって選社軸は変わると思います。
今回は、これからWEBデザイナーを志望する新人の方に向けて、現役WEBデザイナーの私が思う会社選びの5つのポイントをご紹介します。
楽しいWEBデザイナーライフを目指して、この記事が役立てば幸いです。
Contents
社員数が100人以上かどうか
これからWEBデザインを仕事にするのであれば、まずはある程度社員数が多い企業をおすすめします。基準の目安として、社員が100人以上いるかどうかがチェックポイントです。
社員数が多い企業には、WEBデザインの分野ごとに磨きをかけたプロフェッショナルが存在するからです。
社員数の少ない企業だと、ディレクションやデザイン、コーディングなど一連の工程を、全て一人で担当しなければいけない場合が多く、広い知識が身に付く反面、深堀できないデメリットが大きいです。
WEBデザインは技術職で、専門性の高い分野です。各分野のプロの仕事を間近で見て、経験できるのは社員数の多い会社で働くメリットだと思います。
また、人数の差は実績の差でもあります。制作したWEBサイトの数や規模、難易度など、リソースの量によって、対応できる範囲が制限されてしまいます。
様々なWEBサイトにたくさん携わり、パターンやノウハウを蓄積し、経験値に変えていくことが早く成長するために重要なことだと思います。
- 社員数が100人以上かどうか
- セクション毎の専任体制かどうか
- 制作実績が多く掲載されているか
業歴15年以上かどうか
業歴とは、ノウハウです。
WEBデザインの業界は日進月歩で、新しいガジェットや新しいツール、サービスが続々と生み出され、日々技術革新が行われています。
情報が目まぐるしく飛び交い、トレンドも移り変わりが速く、常にアンテナを張ってアップデートし続けなければ、WEB業界のスピードについていくことが出来ません。
そんなWEB業界でWEBデザインを仕事にするためには、過去の動向やトレンドの傾向などを熟知し、次なる進化を先見する必要があります。
また、まだ歴史の浅いWEB業界の中で、業歴15年の実績を持つというのは企業の強みであり、豊富なノウハウでクライアントのニーズにあった提案が可能です。
経営年数が長いということは、それだけ社会の信頼にもなるため、規模やネームバリューの大きい仕事に携われるなど、個人のキャリアから見ても優位につながります。
- 業歴15年以上かどうか
- ネームバリューのあるクライアントと取引があるか
WEBサイト制作が主力事業かどうか
WEBデザインの仕事をする場合、まず「制作会社」で働くか「事業会社」で働くかを決めなくてはいけません。
「制作会社」はクライアントからの依頼によって、WEBサイトやWEBサービスの制作を担う受託スタイルで、WEBサイト制作が主力事業である場合が多いです。
最終的な目的はクライアントの問題解決で、案件によって様々な要件定義に応えていき、幅広い分野や領域に取り組むことが可能なため、スキルアップしやすく多種多様な経験値を積むことができます。
その反面、クライアントの要望や締切など難題も多く、自社でのコントロール範囲が限られ、自分の思い通りに仕上げられないケースも少なくありません。
「事業会社」は自社で事業を展開し、自社のプロダクトやツール、サービスなどの開発や運用を行う企業です。
継続的に改善・改修を行い、自社の事業計画に基づきながらPDCAサイクルを回し、事業推進するため、プロジェクトの成長に長期的に貢献でき関わることができます。
自社プロジェクトのため効果測定など成果の把握がしやすい反面、WEBサイト制作が主力事業ではない場合が多いため、新しい領域にチャレンジする機会が少なく、クリエイティブな仕事を希望するには物足りない場合もあります。
そのため、これからWEBデザインを仕事にするのであれば、クリエイティブな経験を得られやすいため「制作会社」をおすすめします。
事業形態を「制作会社」に絞った上で、以下のポイントを説明いたします。
特化した強みがあるかどうか
WEBデザインを制作するにあたり、事前準備や情報収集は欠かせません。
キーワードの流入調査や、アクセス経路、制作する業界の競合調査や、ページ構成、コンテンツ構成など、制作物によって様々なデータ解析や業界動向が必要です。
WEBサイトの善し悪しは、この事前調査によって大きく成果が変わります。
ですが、いくら事前調査を念入りに行っても、成功パターンとしてのノウハウや知見がなければ、結果の出ないサイトになってしまいます。
不動産や建築といった何かの「業界」に特化した制作会社や、オンラインショップや採用サイトといった「分野」に特化した制作会社にはノウハウが溜まりやすく、マーケット内でのシェア率も知名度も高まります。
特化した経験値を持つというのは、ただWEBデザインのキャリアを積むだけでなく、専門性を深堀することで、特定の分野に精通したクリエイターとしても価値を上げることができます。
特化した業界は、将来性のある業界かどうかも見極めるポイントです。
社内一貫制作をしているかどうか
制作会社によっては、デザイン領域だけ自社で制作し、コーディング領域はフリーランスに外注するといったケースが少なくありません。
WEBサイトは、ディレクション→デザイン→コーディング→システム開発と、踏まなければいけない工程があります。
全ての工程において、社内で一貫して制作ができない制作会社では、発注してもらえる依頼に限りが出てしまうため、仕事の幅が広がりません。
外注に出してしまうと社内にノウハウの蓄積ができず、企業としての成長につながりにくくなってしまうデメリットとなります。
また、一貫制作をしている企業には、各セクションのクリエイターが在籍しているため、それぞれの情報交換や業界のトレンドが追いやすく、勉強になる環境が整っています。
フルスクラッチ制作をしているかどうか
WEBサイト制作には「CMS制作」と「フルスクラッチ制作」の主に2種類の制作方法が存在します。
「CMS制作」は、WordPressが代表的です。
HTMLやCSSの専門的知識がなくともWEBサイトの編集ができるよう構築されたパッケージシステムで、プログラミング言語も用いず制作ができるため、プログラマーなどのシステムエンジニアがいない制作会社などは、CMS制作でWEBサイトを制作する場合が多いです。
「フルスクラッチ制作」とは、パッケージシステムや既存ツールなどを使用せず、何もない状態からコードを記述して全く新しいものを開発する制作方法です。
当然、フルスクラッチの方が技術が高く、制作コストや制作期間も長くかかりますが、パッケージの制約や仕様に縛られることなく、要望に応じてゼロから形にしていくため、独自性が出しやすく、改良や機能追加などの自由度に限りなく行えます。
どちらの制作方法が良いかは、プロジェクトによって様々ですが、企業に勤めてWEBデザインを仕事にするのであれば、断然フルスクラッチ制作が出来る会社をおすすめします。
5を10にするよりも、0を1にする方が難しく大変ですが、それ相応に面白さとやりがいがあり、仕組みを理解しながら制作を進められるので、初心者クリエイターであればこちらの道を進む方が、遥かに自分の力になると思います。
海外展開をしているかどうか
日本の経済成長率を表す国内総生産(GDP)の伸び率は停滞し続けており、少子高齢化の国内マーケットは縮小傾向にあります。
また、IT業界の国際化も加速しており、エンジニアになる新卒者数は日本よりもロシアやイランの方が多く、WEB制作現場でもオフショア開発などの国境を越えたプロジェクトが増えているのが実態です。
最先端のIT技術は、そのほとんどが英語で発表されています。WEB制作の技術革新もアメリカの方が先ん出ていて、日本は一歩遅れる形で進歩している関係性となっています。
ビジネスのグローバル化が促進されている現在、制作事業所が国内拠点のみであったり、国内クライアントのみが取引企業の場合は、いずれ仕事が縮小してしまうことが想像できます。
海外マーケットに挑戦している企業は、チャレンジ精神が高く、よりクリエイティブな活動を目的としている傾向にあるため、クリエイターとしてのモチベーションにもつながります。
- 海外拠点があるかどうか
- オフショア開発をしているかどうか
- 海外のクライアントと取引実績があるかどうか
- グローバル採用をしているかどうか
自社サービスを開発・運用しているかどうか
受託一本の制作会社は不況に弱く、業績が外的要因に左右されることが多いため、会社員クリエイターとして安定した働き方を求めるのであれば、自社サービスを持っているかどうかが重要なポイントです。
「WEBサイト制作が主力事業かどうか」でも触れましたが、受託スタイルの制作会社は、クライアントの要件定義に沿った進行が求められるため、タイトな納期のプロジェクトも多く、慢性的な残業ワークがほとんどだと思います。
事業会社のように「自社サービス」を持っている会社は、社内に利益を生み出す仕組みを持っており、運用計画も社内で決めることが出来るため、現実的なスケジュールで進捗させることができます。
制作現場のクリエイターは、納期とクオリティに追われ、過酷な働き方を強いられているケースも少なくないのが実態です。
クリエイターが幸福に働くためには、会社の将来性や業績などにも着目して、安心して長く働ける会社を選ぶのが賢明な判断だと思います。
まとめ
会社選びにおいて大事なことは、自分が本当にやりたいこと、将来進みたい方向性とじっくり向き合って、適正な道に進む判断をすることだと思います。
もちろん、間違ってしまってもそれで終わりではなく、何度でも軌道修正をすれば良いと思いますし、巻き直しをすれば良いと思います。
何を「失敗」とするのかは人によると思いますが、クリエイターにとって、「クリエイティブを仕事にすることが嫌いになること」は、確実に「失敗」と言えることだと思います。
クリエイティブを仕事にすることは、本来とても楽しく刺激的で、有意義なものであるはずなのに、会社選びを間違えたことによって、クリエイターも辞めることになった人たちを見てきました。
自分の価値観にあった会社で、思う存分にクリエイティブな仕事をして、素敵なデザインをたくさん生み出せるWEBデザイナーになりましょう!